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全世界を支配する運命の女神 Fortuna Imperatrix Mundi

本編ではフォルトゥナ号に刻まれるラテン語の名句は『Fortes fortuna adjuvat(フォルテース フォルトゥーナ アドユウァト) (運命は強い者を助ける)』でうが、最初の設定は『Fortuna Imperatrix Mundi(全世界を支配するフォルトゥナ)』だったんですね。

この語句は、オルフ作曲『カルミナ・ブラーナ』 / Fortuna Imperatrix Mundi -おお運命の女神よにインスパイアされたもので、『世界は運命に支配される』という命題に沿っていました。

しかし、途中から、『運命と意思』というテーマにフォーカスするようになり、「意思は運命にいかに打ち克つか」という話になっています。

運命の代表がアル・マクダエル、意思の代表がヴァルター・フォーゲル。

運命(アル)が仕掛け、意思(ヴァルター)がそれに応えるわけですね。

アルの謎かけに翻弄されながらも、ついには運命の企図を見出し、自らそれを選び取る、これもまた一つの運命愛です。

父親のグンターが教えた「己が運命を愛せ」に辿り着くわけですね。

それはまた、最初、猛烈に反発したアルへの返答でもあります。

では、アルは運命論者なのか――といえば決してそうではなく、経験上、物事が努力だけでは成り立たない現実を知っています。

意思が全てではなく、そこにほんの少し、運命が噛んでいる。

ゆえに、運命を軽んじてはいけないし、運命に流されてもいけない。

物事が成就するには、運と意思の両方が必要で、運を大事にするということは、己を過信しないということでもあるんですね。

伝説の技術者である祖父ノアから『Wheel of Fortune:運命の輪』の刻まれた懐中時計を贈られるのは、それを戒める為です。

参照→ 物事の正否は『運』で決まる 採鉱システム 集鉱機と破砕機の水中降下について

何かを為そうとする人間の傍らを、時は無情に過ぎて行く。
為すべき事は限りなくあるのに、人生はいつか終わりを迎える。
アルは上着の内ポケットから懐中時計を取り出すと、あと一時間でエンデュミオンに到着することを確認した。
純金の文字盤に、王蛇(バジリスク)が絡む『Wheel of Fortune:運命の輪』と、それを廻す三人の女神が彫刻された懐中時計は、アルが十歳の誕生日に祖父ノアから譲り受けたものだ。
「世界で一番強くなれる魔法の御守りが欲しい」とねだったら、祖父は『全世界を支配するフォルトゥナ(Fortuna Imperatrix Mundi)』の守護符を授けてくれたのだ。

第三稿 02アステリア.doc 2000/03/04

ちなみに、王蛇が絡む『Wheel of Fortune:運命の輪』はタロットカードの『運命の輪』をモチーフにしています。

正位置の意味は、転換点、幸運の到来、チャンス、変化、結果、出会い、解決、定められた運命、結束。

逆位置であれば、情勢の急激な悪化、別れ、すれ違い、降格、アクシデントの到来、解放。

しかしながら、正位置の良い意味であっても、運命の輪は絶えず回り続けるもの。

たとえ幸運を掴んでも、ずっとその場に留まってくれるわけではありません。

運命は不安定であり、だからこそ、勝者は自らを戒め、敗者にも逆転のチャンスがあるのです。

嬉しい絵柄であると同時に、厳しい現実を突きつける、どこか怪しいカードであることは間違いありません。

RWS Tarot 10 Wheel of Fortune.jpg

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この記事を書いた人

家・文芸愛好家。80年代サブカルチャーの大ファン。科学番組の全盛期に子供時代を過ごした影響でSFを書いています。モットーは『Newtonから月刊ムー』まで。かつて宇宙を夢見た少女は深海に魅せられて海洋科学の転向しました。今でもハヤブサより、しんかい派です。

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