形に表わして初めて、思想は思想の、愛は愛の意味を成す。
形に表わして初めて、
思想は思想の、
愛は愛の意味を成す。
第六章『断崖』の下書き
デザインとは精神の具象 アイデアの対極は『無』 無駄と決めつけずに考えるでも書いているように、主人公のヴァルター・フォーゲルは、自分のアイデアが笑いものになることを恐れて、周囲に表明することを躊躇します。
しかし、行動や言葉に表さなければ、いつまでたっても「無」でしかありません。
優れたアイデアの対極にあるのは、「くだらない考え」ではなく「何もしないこと」、すなわち『無』です。
上記は、「アイデアの対極にあるのは無」と助言した彼女の言葉の意味が分からず、その機会を逸したヴァルターが、やっとその意味に気付いた時の科白。
何事も心に持っているだけでは始まらない、の喩えです。
人は「やろう」と心に決めた事だけを、確実に成していく
誰がアイデアを形にするかで、この世は変わる
誰がアイデアを形にするかで、この世は変わる ~人の意思と品性がアイデアの価値を高めると重複しますが、上記に関連するリズの言葉です。
父のアルがヴァルターをスカウトした真の理由を、リズだけは知っています。
でも、それを直接口にすることは、父とヴァルターの信頼関係を引き裂くことになりかねません。
リズに出来ることは唯一つ。
彼の心の眼を開かせ、アイデアの可能性に気付かせることです。
宇宙の塵のように人間の頭の中で生まれ、次第に形を取りながら、未だかつて誰も見たことがないような新しい物をこの世に作り出す。
社会や時代を動かしてゆく。
時には世界を席巻するような巨大市場を生み、人々の暮らしを根底から変えてしまう。
それが社会を豊かにすることもあれば、大勢の人生を台無しにすることある。
でも、それらは決して運などではない、人間の意思が形づくるのよ。
誰がアイデアを形にするかで、この世は変わるわ。
どれほど優れたアイデアも、曲がった意思が働けば歪な世界を作り出すし、アイデア自体は優れなくても、善き意思がそれを優れたものに育てることもある。
専門家だから、その道の権威だから、必ずしも優れたアイデアを生み出すとは限らないのよ。
言わずと知れたことですが。
最初に意思ありき。
運は後から付いて来る。