社会の牽引役を失ったアステリアでは、市民の混乱を尻目に、巨大海上都市『パラディオン』の建設に向けて大きく動き出す。ヴァルターとリズはそれぞれの立ち位置から懸命に働きかけるが、強硬な勢力の前に抗う術もない。そんな中、悲惨な事故が生じ、断崖絶壁に立たされたヴァルターの目に映ったものは…。
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第六章 断崖
Luctor et Emergo(私は闘い、水の中から姿を現す)~ゼーラント州の…
オランダ・ゼーラント州の記章に刻まれた『Luctor et Emergo(私は闘い、水の中から姿を現す)』の意味について解説。主人公ヴァルターもプレゼンテーションの前、必ずこのモットーから始めます。 -
第六章 断崖
建築は公共の芸術 ~町はあなた一人のキャンパスではない
富裕層向けの海洋都市の建設を急ぐメイヤーと密かに面談したリズは、公共性を無視し、己の野望を遂げようとする心根に違和感を覚える。庶民の福祉は後回しかと問い質すリズに、メイヤーは「百の理想を説いて聞かせるより、小切手一枚切った方が早いと嘲笑う。 -
第六章 断崖
今、異議を唱えるか。永久に口をつぐむか。~無関心は独裁政治の入り口
アステリアの未来を占うペネロペ湾開発のアイデアコンペで下馬評通りメイヤーの海上都市『パラディオン』が一位に選出される。だがその公共性に懐疑的なヴァルターは質疑応答で異議を唱え、自身が考案する干拓型の海洋都市『リング』を対案としてぶつける。 -
第六章 断崖
巨大建設の公共性をめぐる意見の対立 ~不透明な試算と自治体の負担
ペネロペ湾開発のアイデアコンペで壮麗な円環の海上都市『パラディオン』が第一位に選出されたが、莫大な建設費用と維持費、富裕層向けの限定的な物件であることから反発も強く、政府の委員会では建設の是非を巡って議論が交わされる。 -
第六章 断崖
アイデアの伝え方 ~全ての人に分かりやすく説明する
壮麗な海上都市『パラディオン』の建設計画が進む中、公共性や耐久性に懐疑的なヴァルターは干拓型の海洋都市『リング』を対案として提示するが、いまひとつ一般人にアイデアが理解されてないと指摘され、大衆の支持を得るには「全ての人に分かりやすく」が鍵だと気付く。 -
第六章 断崖
干拓型海洋都市『リング』鋼製ケーソンで海底面に都市空間を創出する
アイデアの是非が問われる中、干拓型の海洋都市『リング』のプレゼンテーションに立った彼は「ボルトを締める人の手にも意思がある」と社会の基盤となる庶民の誇りや意欲の重要性とについて説き、「信用こそ資本」と建設費に勝る価値を創出することを宣言する。 -
第六章 断崖
どこに作り手の心があるかはデザインを見れば分かる ~ デザインとは心の表象
【建築コラム】 デザインとは何か 【小説の抜粋】 どこに作り手の心があるかはデザインを見れば分かる -
第六章 断崖
何を得ても満たされない嫉妬と競争心 人間としての誇りはどこへ?
【コラム】人間としての誇りが生き様を決める 【小説の抜粋】嫉妬と競争心 人間としての誇りはどこへ? 【人間の雑学】なぜ女同士のマウンティングは止められないのか -
第六章 断崖
生きる海は一つ 対立を超えて共存共栄の未来へ ~優遇される新興勢力と取り残される…
【コラム】 共存共栄に向けて、結束する 【小説の抜粋】取り残される既存社会と優遇される新興勢力 【リファレンス】海の見える家と海岸段丘 海洋開発の在り方を協議するカンファレンスにて。リズとヴァルターの意見。